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* 最後の夏

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8月半ば過ぎ

いつもの散歩コースになっている道を歩いていた時

この百日紅の花を撮った。



その二、三日後

その百日紅が咲いてたお家の解体が始まった。

数日であっという間に更地となった。




その百日紅は垣根からはみ出すように外に向かって伸びていて

いつも散歩の時に見ていたけれど

写真を撮ろうかどうしようかと迷っているうちに

いつも通り過ぎてしまっていたのだ。



たまたまその日に限って

花の色がいつもよりとても鮮やかに感じて

一旦通り過ぎたのだけれど

また戻ってiPhoneで写真を2枚撮ったのだった。



その後、庭も家屋と一緒に壊され

庭木は根こそぎ抜かれて残骸となって運び出されていった。






この百日紅の最後の夏となった。





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あの日

一旦通り過ぎたのに引き返し

写真を撮ったのは

ただの偶然だったのだろうか?



百日紅の

最後の艶姿を残して欲しいという願いが

わたしを引き戻したのだろうか?




今朝もまたその道を通ったのだけれど

更地を見渡すと

ちょっと息苦しくて

切ない気持ちになった。








解体されたお宅は

住まいの一角が美容院になっていた。

その店を営んでいた奥さんが急死されたあと

空き家となって数年が経っていた。



自分のお店を自宅と一緒に建てられた時は

どんなにうれしく誇らしいお気持ちだったろう。



家とは完成するまでには長い時間がかかるのに

壊されるのはあっという間なのだ。


更地となった土地は

あらたに土が盛られ整地され

また新しい住宅が立つのだろう。

前の住人の暮らしぶりや

その家の庭に咲いていた花のことなど

新しい住人となる人々に知られることもなく。




わたしたちは

何層も何層も積み重なった地層の一番上の

薄っぺらい表皮の上で

日々、いろんなことを考え、

ちょっとしたことで悩み、喜び、苦しみ

踊らされるように

生きているようなものなのかな・・・

そんな気がした。








by kaara17 | 2015-09-08 14:56 |